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2018/09/08
9/23(日)『きみの鳥はうたえる』舞台挨拶決定。

夏という季節と青春は、どこか似ている。うっとうしい暑さにせいせいして、秋に恋い焦がれる気持ちと、退屈のなにものでもない時間のなかで大人になることを待ちわびる気持ち。通りすぎていってから、なんだかよくわからなかったけどすごく楽しかったね、終わっちゃうと寂しいねって、言えるようなそんな共通点。このあいだまで、夏はえーいえん!なんて思っていたのに、いつのまにか夜の7時には真っ暗な空が浮かんでいて、夏が終わる気配にうっかり寂しさがこみ上げてくるような、9月の日々に『きみの鳥はうたえる』はぴったり。これは、愛すべき酔っ払いたちとうっとうしい夏に向けたラブレターだ。
すべてに対して諦めにも似たような雰囲気を漂わせる「ぼく」と同じ職場で働く佐知子、「僕」と同居している失業中の静雄。函館を舞台に、三人は酒を飲みながら夜をふかし、クラブで踊り、ふざけあいながら笑い転げる。なんてことのない日常、永遠に続くかのように思えたひと夏をただ過ごしていく物語。
記憶について考えてみると、全部を覚えてることなんてなくて、映像として頭のなかに残るワンシーンが、なんどもループしていく。そういう、何気ない日々のちょっとした記憶に残るだれかの脳みそのなかを覗き見しているような感覚になった。なんでもないのに特別という不思議。誰かの目の動き、ふとしたときの横顔、クラブの暗がりで踊る女の子に見惚れた数秒間、そういう些細なことがグッと詰まっているから、この映画はあたしにとって忘れてしまってもどこかでずっととどまってくれる作品になっていく。
京都では、9/22(土)から上映がはじまり、23日(日)に舞台挨拶があります。日本の新鋭、三宅監督が登壇予定ですので、ぜひご来場ください。